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2013.05.31 (シャニム43号掲載)

本田雅一の“先取り”家電インフォ!連載11


テレビをより美しく見るために!
「4K2K」技術のトレンドを検証

本田雅一の“先取り”家電インフォ!

フリージャーナリスト
本田雅一

http://about.me/mhonda/

  

 

 このところテレビを巡る話題でもっともよく耳にするのが「4K2K」というキーワードだ。これは海外では「UHD(Ultra HD)」と呼ばれているスペックのことで、縦・横ともにフルHD……すなわち、現在の放送規格やブルーレイディスクの上限となっている解像度の4倍の画素を持つ高精細テレビのことをいう。

 しかし「放送規格や市販ソフトよりも高解像度なテレビを選ぶことに、本当に意味があるの?」という疑問は当然ながらあるだろう。ということで、今回は4K2Kというトレンドについて話を進めることにしよう。

 

近頃4K2Kが流行る理由

 この春に4K2Kテレビを新製品として発売するメーカーは多い。ソニー、シャープ、東芝、LGなどで、どこも主力製品としてとても力を入れた開発を行なっている。トレンドという意味では、4K2Kに向かっていることは間違いない。

 しかし、現在のデジタル放送は一部BS放送を除いて1440×1080画素。フルHDの1920×1080画素の放送やブルーレイディスクがあるにせよ「4K2Kなんて高画素が本当に必要なの?」「メーカーが無理にスペックを上げようとしているだけじゃないの?」といぶかしむ声もあるだろう。

 しかし、4K2Kが流行るのには理由がある。一つめは液晶の技術的な特徴と進歩の方向が、高解像度化に向いていること。二つめは60インチを越える大画面では、フルHDとはいえ画素が見えやすく4K2K化で滑らかな見え味になること。三つめは画素数の多さに見合うだけの画像処理技術が搭載できるようになってきたこと。四つめが、世界的4K2Kに対応したコンテンツ配信や放送を行なう機運が高まり始めていることだ。

 液晶ディスプレイは、プラズマなどに比べると(比較的)容易な方式だ。生産技術が安定してくれば、同じ画面サイズならば同じぐらいのコストで生産できるようになる。テレビという商品に仕立て上げるには、そこから先の映像処理回路も4K2K対応にする必要があるため、そうそう単純な話ではない。しかし、将来の方向として液晶の高解像度化は自然な流れなのだ。

 また、テレビの大画面化にともなって、肉眼で画面を見る際に画素の大きさが気になるようになってきた。もちろん、遠くから見るだけならば画素は気にならないが、それではせっかくの大画面なのに迫力が損なわれる。ザックリとした表現だが、60インチを越える画面サイズのテレビを高精細化すると、その効果はハッキリと現れる。画面の荒れた印象がかなり緩和されるのだ。


東芝「レグザ55XS5」
 

 

 


シャープ「ICC PURIOS LC-60HQ10」
 

 

 

“絵を描くキャンバス”は、何より高精細であるべき

 とはいえ、表示するのは最大でもフルHDのコンテンツ。そこに意味などない。どう頑張っても、掘り起こすべき情報などないというのが、4K2Kに対する批判として存在するが、実際には超解像技術の進歩によって画質面での利点は得られるようになってきている。

 複数フレームを参照し、適切な補正を加えたり、映像を部分ごとに認識し、それぞれの被写体(例えば花や車など)の特徴に合った画像処理を行なうなど、様々な方法がある。半導体技術の進歩で処理能力が高まり、これまではできなかった映像処理が可能になってきた……と考えるといいだろう。

 メーカーごとに映像処理のノウハウは異なるので、メーカー間の競争を促すことにもなる。例えばソニーは行間を表現するような奥行き感よりも、ハッキリ・クッキリと精細感を演出するチューニングを、嫌らしくない程度にX9200Aシリーズに施しているようだ。これは4K2Kに対応するシャープ・アクオスの新シリーズにもいえる。東芝はナチュラルに精細感の高い領域まで自然にコントラストが高まったように見えた。

 映像というコンテンツの解像度、すなわち封入されている情報量は今までと同じ。しかし、その映像を描くキャンバスが高精細になったことで、これまで表現できていなかった“行間”を上手に見せている。もちろん、絵の描き手がへたくそならば、むしろ元のデータをそのまま再現しようとする方がマシという話になるが、本当に写実的に上手に絵を描けるならば話は別だ。

 液晶パネルというキャンバスが高精細になったことで、テレビメーカーという描き手の能力、素養がより明快に区別できるようになる。そういう意味でも、4K2Kへの流れはとても興味深い。

 

4K2K映像をどうやって楽む?

 とはいえ4K2Kの映像をもっと楽しみたいというユーザーは多いはず。

 もっとも簡単にその望みを叶えられるのは映像ではなく写真だ。メーカーごとによって機能は異なるため一概にはいえないが、4K2Kテレビの多くには約800万画素という高精細表示能力を活かして、デジタルカメラの映像を、画素をフルに用いて見せる機能を備えている。写真好きならば見逃せないポイントだ。

 大画面で見る高精細写真は、想像以上に素晴らしい。せっかくデジタルカメラの性能が上がってきているのだから、これをうまく利用しない手はない。SDカードなどに収めた画像を4K2Kで表示できるテレビは多いので、お気に入りの写真を店頭で表示してみてはいかがだろうか?

 またPCとの接続も忘れてはならない。残念ながら現在のHDMI端子は、4K2K映像を毎秒24〜30コマでしか表示できないため、マウスカーソルを見失いやすく、やや使いにくくなってしまうが、PCを接続して、より高精細な3Dゲームを遊ぶこともできる。4K2Kの解像度は、高精細ディスプレイが多いPCの中でも極めて画素数が多い(一部機種は特別な装置を介することで毎秒60コマ表示を実現しているものもある)。

 一方で、写真とPC接続以外に4K2K映像を楽しむ手段が、現時点では存在しないことも厳然たる事実ではある。そもそもテレビや映画を4K2Kで見ることができないのか?

 おそらく、もっとも近くにある選択肢はインターネットを通じた4K2K映像配信だ。現時点ではダウンロード型コンテンツが現実的。例えばソニーは北米で4K2K映画の配信を始めた。専用端末のハードディスクにダウンロードして見るタイプだ。

 また、新しい高効率映像圧縮規格のH.265 HEVCが登場したことで、4K2Kのストリーミング再生も視野に入ってきた。テレビなどに使われる処理回路のHEVC対応も、年内の新しいLSIには盛り込まれる見込み。来年にはHEVC対応が当たり前になってくるだろう。

 では放送は? というと、日本の場合、4K2K以上の高精細テレビ放送サービスが2014年に試験放送を開始する予定になっている。その補正予算もついたため、民放各社も徐々に4K2K対応を進め始めるだろう。有料衛星放送のスカパー!は、すでに4K2K放送について正式にサービス計画を発表している。

 

問題は将来への不安か

 前述したように、HDMIを通じて4K2Kの映像をテレビに送る場合、インターフェイス規格の制限から毎秒24〜30コマの表示しか行なえない。これは放送の毎秒60フレームに比べて動きの追従性に劣る。

 映画は毎秒24コマで制作されており、24コマで見られることを意識して撮影、演出されている。したがってプレミアムコンテンツの王者ともいえる映画ならば、将来どんな規格が新たに追加されたとしても、HDMIを通じて何か受信できるボックスを接続すれば対応できる。しかし、将来を見すえると毎秒60コマへの対応も必要だろう。

 4K2K放送が世の中で幅広く実施されるようになるには、まだ長い時間がかかるだろうし、フルHDが上限の映像ソースであっても、優秀な超解像回路があれば、少なくともフルHDよりも、ずっと滑らかで納得感のある映像を見られるはずだ。よって、筆者は4K2K放送という今後の展開がどうなるのか読めない部分を気にするのではなく、今、テレビをより美しく楽しむ方がいいと思う。

 しかし高額な品物を買う時に将来性が気になるのは当然だとも思う。

 業界はかねてより求められているHDMI 2.0を早々に策定し、早いところ将来性など気にせずとも安心して4K2Kテレビを購入できる準備を整えてほしいものだ。4K2K対応したHDMIを搭載したテレビが登場し始めるのは、そう遠い日の話ではない。ここがクリアされれば4K2Kテレビへの懸念や抵抗感も薄れていくだろう。

 

 

 

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