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2012.06.10 (シャニム39号掲載)

太陽光発電「超」 完全ガイド Part2

 

PART2   「産業用システムのポイント

「総発電量の最大化」を最優先
コスト増額分は中期で回収可能

 

節税対策としての太陽光

 出力10kW以上の産業用システムでは、発電した電力の全量を売電可能な「全量買取制度」が適用される。

 買取価格は1kWhあたり税込42円(税抜き40円)、買取期間は20年だ。決定前の業界予測額よりも高めだったことなどから、太陽光発電事業に新規参入する法人が、一気に加速することが確実視されている。

 新たな税制も、これを後押しすることとなろう。グリーン投資減税の措置内容として、今期から「即時償却」が加わったからだ(表4)。

 即時償却とは取得したその年度に、取得費用の全額を経費計上できる制度。支払い税額の大幅減少が可能になるため、「売電事業と節税対策の両面効果を狙った新規参入が急増する」(関係者)というわけだ。

 ここで注意すべきは、対象となる太陽光発電設備が「買取制度の認定を受けた10kW以上のシステム」となっていること。電力の自家使用を目的とする事業者は、グリーン投資減税の対象からはずれることになる。

 これについては多くの関係者から、「自家使用の道を閉ざし、売電に誘導する政策はいかがなものか」との声があがっている。電力会社の買取量が増えれば、国民の電力料金サーチャージ負担増につながりかねない。しかも、自家発電自家使用こそ「創エネの本来の姿」との声もある。

 「国が意図的に全量買取に導かなくとも、自家使用か売電かを自由に選択できる余地を残すべき」。

 いずれにしても、すでに制度は始まっている。今はこれをいかに有効活用するかが重要であろう。

表4 グリーン投資減税

※1)別途、告示で定める要件を満たすことが必要
 

 

回収試算は現実的な数字で

 事業として太陽光発電システムに投資する以上、いつ回収できるのかが最大のテーマだ。そのための回収シミュレーション手法も、各種の雑誌等で紹介されている。

 だが、そうしたシミュレーションについては、多くの関係者が「あまり参考にならない」と否定的だ。産業用は個々の事業者によって規模や設置場所(屋根か、陸地か)などがまったく異なるからだ。

 住宅・アパート用については、ヤマダ電機のオリジナルモデルのように「住宅用3.84kWプラン」や「アパート用9.6kWプラン」などのパッケージが用意されている。この導入を前提とした回収シミュレーションは非常に有効といえる。

 ところが産業用では現状、こうしたパッケージ商品は存在しない。個々の事業者の状況に応じた最適システムを、個別設計している。そのため回収シミュレーションは、「具体的な商談の中で、実態に即した試算を行なうべき」との声が多い。

 その際、ぜひ念頭にしたいことは、産業用システム構築の最重要キーワードが「総発電量の最大化」ということだ。太陽光発電の場合、収益の拡大策は、発電量を最大化する以外に道がないからである。

 そのための方向性は2つある。①「モジュールの定期清掃やメンテンス、及び日々の発電量管理の徹底」と②「太陽光モジュールを可能な限り多く敷き詰めること」だ。①は発電能力を維持するためであり(詳細はPart3を参照)、②は発電能力を最大化するためである。

 どちらもコストがかかることは確かだが、①は事業を継続運営するために必要なランニングコストとして、予算化すべきであろう。

 

モジュールとパワコンの出力

 ②はシステム構築の予算をどう組むかという問題になるが、これについて最近、新たな考え方が注目されている。それは太陽光発電モジュールとパワコンの出力を「必ずしもイコールにする必要がない」というもの。

 これまでは、パワコンとモジュールの出力を合致させることが常識だった。モジュールが最大出力で発電しても、パワコンの出力が低ければ、実際にはパワコンの出力分しか発電しないからだ。

 だが、モジュールが最大出力で発電するケースは「あっても年に数回」だ。それだけのためにパワコンの出力を高めるよりも、現実的なモジュール出力をシミュレートし、その現実に合ったパワコンを設置する方が合理的というわけである。

 実際、複数の太陽光システム・インテグレーターが「パワコンの出力を1〜2割ダウンさせても、総発電量は、同程度並みを維持できる」と断言している。

 産業用のパワコンは、メーカーによって若干の違いはあるが、出力ごとに10kW、100kW、250kWといったラインアップが主流だ。このため例えば総出力120kWのシステムを構築する場合、従来は3台のパワコン(100kW×1、10kW×2)を設置していた。

 だが、100kWを1台だけの設置としても、総発電量は大きくは変わらない。しかも、パワコン代金や工事費がカットでき、設置スペースもコンパクト化できる。

 さらにいえば、パワコンは太陽光発電システムの心臓部であり、できるだけシンプルな構成とすることが、トラブルの回避やシステムの長寿命化などにつながる。

 こうした複数のメリットを期待できることから、最先端の感覚を持つシステム・インテグレーターの間では「パワコン出力の1〜2割ダウン」が常識化しつつある。

 

最優先は「総発電量の最大化」

 この手法をイニシャルコスト削減ではなく、産業用の最重要キーワードである「総発電量の最大化」に置き換えれば、次のようなシステム構築に応用可能だ。

 例えば100kWの産業用システムを構築するとしよう。この場合、従来であれば100kW分の太陽光モジュールと100kWパワコンを組み合わせていた。だが、パワコンはそのままに、太陽光モジュールを120kW分導入するのだ(設置可能なことが前提となるが)。先ほどの考え方でいえば、パワコンは100kWのままでも、出力120kW相当の産業用システムが構築できるわけである。

 もちろん20kW分多く太陽光モジュールを設置することによるイニシャルコスト(モジュールや架台の代金、工事費等)はアップする。だが、これも表5のような考え方に立てば、コストアップ分は十分に回収可能という試算になる。

 表5はある太陽光システム・インテグレーターが独自にシミュレートしたもの。20kW分のコストアップ額を仮に300万円と想定しているが、これによって年間80万円の売電収入アップが可能と試算している。つまり、イニシャルコストの増額分は3.75年で回収でき、以後は売電収入のアップが継続する。

 これは産業用システム構築の最重要キーワードである「総発電量の最大化」を、最も合理的に実現する手法の1つといえ、中・長期的には「実出力1kWhあたりシステム単価の引き下げ」の実現にもなる。
このシステムインテグレーターは次のように話している。

 「買取価格が42円という高額で決まった以上、かかったイニシャルコストは、かなりの確率で早期回収可能だろう。もちろん設置条件やエリア等諸条件によって、必ずしもそうならない場合もある。

 だが、産業用の構築では、基本的には初期コストよりも『総発電量の最大化』を、最優先すべき。これを念頭にシステム設計し、次の段階でイニシャルコストの削減等に取り組むことが、最も合理的なステップだろう」。

 規模が大きく、投資も巨額となる産業用システムでは、従来の常識にとらわれ過ぎては、合理的なシステム構築が難しい。

 ヤマダ電機は産業用システムにおいて、有力メーカーや最先端インテグレーターと万全の協業体制を構築済みだ。まずは法人カウンターまで、問い合わせてみてほしい。

表5 モジュール20kW増加時の投資回収シミュレーション

 

表6 屋根タイプ、及び出力別のモジュール設置面積の目安

 

 
ヤマダ電機店舗でも太陽光発電事業のための
 現地調査が着々と進んでいる