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2006.10.20

サイゼリヤ~「企業理念」で差別化する外食サバイバル時代の優等生Page3

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企業研究--サイゼリヤ
サイゼリヤ会計学

正垣泰彦社長インタビュー

お客を満足させる基本は
いいものを「安く売る」こと

競争のための低価格は無意味

−−外食産業では一時、低価格がブームになり、大手各社が激安競争に走りました。正垣社長はそれをどう見てましたか。
正垣 特に意識したことはないですね。多分、発想が違うのだと思います。価格は基本的に安くできるのなら、どんどん安くすべき。そうすればより多くの人が食べられる。世界には食べられない人がたくさんいる。これが自分たちの目指す究極の目的、経営理念なんです。

そのためには仕組みが必要。安ければ悪く、高ければいいのは当たり前。しかし、安くていいものという仕組みは簡単にはできません。それを今、一生懸命やっています。より安くするために。
−−競争のための低価格戦略では長続きできないと。
正垣 他社を潰すためにやるのではなく、あくまで自社の特長を打ち出すということです。そうすればお客様は他店にいったとしても、必ずうちにもきてくれる。共存共栄が図れる。皆が幸せになれるように、やっていけばいいだけの話なんです。私は1つのことしかやれません。中国など貧富の差の激しい国でも、1人でも多くの方に食べていただきたいと思っています。

−−上海店は合弁ではなく、単独資本で出店されたそうですね。
正垣 合弁はダメです。経営理念が徹底できない。人間、口では「中国人のために」といいますが、次の日には考えが変わることも多い。そういう意味では経営理念が差別化になる。上海の出店でも「中国の貧富の差を縮めたい。中国人にもおいしいイタリア料理を手頃な価格で食べて、楽しんでいただきたい」ということを、一貫して訴え続けました。価格は日本の5割引き、7割引きですよ。おかげさまで今は1店舗に1日2000人は来店いただく超繁盛店になりました。この理念を徹底すれば、中国だけで何千店と展開できる。世界中にも展開できると思っています。

−−最近は景気も回復基調で、高額商品の販売を強化する企業も増えています。
正垣 確かに当社も既存店売り上げが伸びてきており、「もっと高価格なメニューが売れるのではないか」といわれます。しかし、次元が違いますね。我われは、世界のより多くの人に食べていただきたい。そのための努力をしようじゃないか、ということでやってきている。価格を安くすることは、それが本来のあるべき形だと思っている。その方向は全然変わりません。

王道を決めたら迷わない

−−経営理念を徹底する一方で、数値管理を厳しくされていることが高収益のポイントではないかと思うのですが。
正垣 チェックすべき経営指標は、お客様が増えたか、どうかだけです。お客様が増えたことをもって、自分たちは社会に貢献でき、お客様に喜んでいただけているということになる。そのためにすべきことは、とてもシンプル。「同じものだったら安く売ること」なんです。普通の方は安く売ったら利益が出ないと考えがちですが、そうではない。

安く売ると、お客様がどんどんくるので余計な経費がかからない。食材のロスがなくなり、宣伝費や高い家賃を払う必要もない。世界中のデータを見ても、ウォルマートのように一番安い価格を出している企業が、客数を伸ばし、利益を出している。共通するのは経費をそれほどかけていないことです。
ところが多くの企業は売る努力をし、そこに経費をかけている。本来、商品に値打ちがあれば、経費はかからないんです。お客様のためになることとは「安い」こと。「安くていい」が一番ですが、そこまで一足飛びにいけなくとも、「安くても悪くないもの」を売る努力をしないといけない。努力を続けているうちに、やがて「安くていいもの」になっていく。一番最初は安いことなんです、ビジネスは。

−−しかし、安く売って利益を出す仕組み作りは簡単ではありません。
正垣 私にもまだよく分からない。でも、人のために本気でやろうとすることが絶対に必要だと思います。王道ですね。「俺はこれをやろう」という王道を自分で決めたら、迷うことはない。私は、お客様に安くておいしいものを出そうと決めてからは、迷ったことがない。「こんなに安く出したら利益が出ない」とか、そんなことは一度も考えたことがないですよ。

用途を突き詰め、もっと豊かに

−−正垣社長にとってのビジネスは、自身の理念を実現するための手段という感じですね。

正垣 実現はできませんが、それに向かっていくためであることは確かですね。まあ、山のようなもの。頂上に極楽浄土のような世界があって、そこに向かって一歩一歩。これはビジネスだろうと、宗教だろうと、芸術だろうと一緒だと思います。

−−食を通じていかに社会貢献するか。
正垣 それが私の使命だから。その努力を続けることで、お客様はついてきてくださる。ですから、この理念をアジアの発展途上国などにも広めていく。そういうことだと思うんです。

−−では食の中でも、なぜイタリアンを選ばれたのですか。
正垣 世界の料理で、食文化として体系立てられているのは、中華とイタリアンしかない。しかも用途の多様性となると圧倒的にイタリアンだからです。パン1つとっても、朝食べるパン、夜食べるパン、チーズと一緒に食べるパンなど様々。料理の用途を突き詰めると、人間はもっと豊かになれるんです。
しかも、用途別の食事をさらに豊かにするのがワイン。これもイタリアには様々なものがあります。こうしたコーディネーションの食事は人間にしかできない。この豊かさを、1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

−−外食産業は、時代時代で花形プレーヤーの入れ替わりが激しい。それは、なぜですか。
正垣 皆さん、頭がいい。「
より儲かることを」と考えるからじゃないですかね。「居酒屋がダメだから、今度は回転寿司だ。いや、これからは介護だ」と。だから、ダメになる。そこには理念の入り込む余地がないですよね。儲けることが目的ではなく、目的はお客様に喜んでいただくこと。お金がギラついているフードサービスだからこそ、理念の差が生きてくるのだと思います。(敬称略)

○正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)
1946年生まれ。東京理科大学出身。個人店舗「レストランサイゼリヤ」を経営後の73年に(株)マリアーヌ商会を設立。92年に50店舗達成し、商号を(株)サイゼリヤに変更。98年に株式店頭公開、99年に東証2部上場。2000年には300店舗を達成し、東証1部上場。05年からはファストフード事業「イートラン」をスタートしている。

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正垣社長おすすめメニュー

インタビューの際には様々なメニューの話も出た。その中でもおすすめはパルマ産熟成生ハム「プロシュート」(写真左・Sサイズ税込399円、Wサイズ同789円)と白ワイン「ベルデッキオ」(750ml同1030円)の組み合わせだ。
ほのかな塩味のプロシュートと、すっきりした飲み口のベルデッキオ。この両者が口の中で混ざり合うや、何ともいえない甘みが一瞬にして広がる。しかも、プロシュートの舌にとろける

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食感が非常に心地よい。
正垣社長が力説するイタリア料理特有の「豊かな食事」を、サイゼリヤならではの手軽な価格で実感できる絶妙の組み合わせである。

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